ゲバラの映画を観ました。一部ですが、二部は31日に封切りです。ゲリラ活動中のゲバラが神格化されず、いわばありのまま描かれているところがおもしろいと思いました。27歳の革命に生きるゲバラと、国連で演説するゲバラとの二つの時間が流れ、なかなか時間構成も複雑でおもしろい映画でした。
次に、チェ・ゲバラに関する第二部の 映画「チェ 39歳 別れの手紙」をみました。その印象記です。
峡谷でのゲリラ戦の場面は迫力がありました。銃殺されたゲバラの遺体がヘリコプターにくくりつけられて運ばれていく非人間的な映像に監督の銃殺した政権への怒りを感じました。ところで、ゲバラはなぜ敗北したのか・・?ゲバラの武闘路線が平和共存路線に転換した当時のソ連共産主義と対立し、その影響下にあったボリビア共産党とも対立することで、孤立していったとしても不思議ではありませんが、それだけでしようか。よく民衆に支持されなかったからという意見をききますが、それも結果論で、僕は、キューバ革命を学習したアメリカをはじめとする政権側の徹底したゲリラ対策が功を奏したのだと思います。その対策マニュアルの一つとして、ゲバラの名前を徹底して隠しました。銃殺してからは全く逆でしたが。ゲバラ神話による革命の高揚を防ぐためでした。こうしたマニュアルは今でも形を変えてあるのでしよう。ああ、なんかくらいですね。そんなことよりも、「モーターサイクル・ダイアリーズ」をみればわかるようにゲバラには不幸な人、貧しい人への限りない優しさがあり、その心には敗北はないということですね。 (2009年01月 前田角藏)
最終講義を昨日やりました。一応、こんな感じです。
最終講義 「文学史のことなど」 国語教育講座 前田角藏
2010/2 /19 406 16:00ー
【はじめに】 全共闘世代と「私」 参照 「the flag」( 作詞:小田和正)
ただ 若かったから それだけのことかな
あの頃僕らは 傷つけ合っていた
汚れなき想いと 譲れない誇りと
迷いのない心は どこへ行ったのだろう
あの時掲げた 僕らの旗だけが
今も揺れている 時の風の中で
それからの 僕らに 何があったのだろう
変わってしまったのは 僕らの方なんだ
自由な翼を 僕らは たたんで
二度と そこから 飛び立つことはなかった
やがていつの日か この国のすべてを
僕らが この手で 変えてゆくんだったよね
僕らが この手で すべてを
ここから 行くべき その道は どこかと
できるなら もう一度 捜さないか
戦える僕らの武器は 今 何かと
それを見つけて ここへ並ばないか
僕は諦めない 誰か 聞いて いるか
僕は ここにいる 誰か そばにいるか
やがていつの日か この国のすべてを
僕らが この手で 変えてゆくんだったよね
あの時掲げた 僕らの旗だけが
一人揺れている 時の風の中で
・研究者の世界から高校の現場へ
【Ⅰ】 文学教育のこと
①浮浪者襲撃事件と「羅生門」
・「羅生門」・・・下人の心理の変化 エゴイズム ・浮浪者襲撃事件
・悪の問題に国語教師としてどう向かい合うか
・老婆の視点からテクストを読み直す試み
②登校拒否生徒、神戸少年殺人事件と梶井基次郎(1901-1932)「檸檬」
・主人公「私」・・・心の病 「不吉な塊」を読み直す
③文学を教えようとしたのではない 文学を通して生徒と話し合おうとした
④ 読者中心の読み 主人公中心主義の克服 私小説的読みの克服 語り手論 他者論
【Ⅱ】 文学史のこと
①森鷗外「舞姫」中心の近代日本文学史 ・・・近代的自我の覚醒と挫折・・・太田豊太郎が立身出世のためにエリスを捨てる物語・・ 〈政治=悪 恋愛=善 〉の二項対立思考の誕生 国家の問題の欠落・・・外部、他者(戦争、植民地の問題欠落)
②新しい文学史へ ・・・研究同人「試想」(http://shisou.michikusa.jp/)
【Ⅲ】授業でめざしたもの・・・・新しい作品の読みと文学史そして文学教育
・・〈世界でたった一つだけの授業へ〉・・・夢
【Ⅳ】 宮崎と「私」
①教えられたこと・・・狭い視点から世界を見ていた・・すばらしい作家や作 品、自然との出会い
② すばらしい人との出会いと期待
③充実した10年間に感謝 ありがとうございました
何も動員したりしばりをかけたわけではないのに多くの学生、卒業生が参加してくれてとても感動しました。貴重な寄せ書きやお花もありがたいことでした。貴重な時間をさいてきていただいた先生方にも感謝いたします。 (前田角藏)